着物と日本舞踊は常にセットになっているといえるでしょう。
たとえ練習でも、洋装で日本舞踊を踊る姿はあまり想像できないものですよね。
また、発表会などで日本舞踊を鑑賞する場合にも、着物で訪れる人が多いようです。
ですが、着物さえ着ればいいというものではなく、どんな着物がいいのか悩んでいませんか。
ここでは日本舞踊を演じるときにふさわしい和服についてご紹介します!
日本舞踊とは?
日本舞踊とは、シンプルに理解すれば「日本」の「踊り」です。
しかし、歴史の中でさまざまな出来事があり、日本舞踊のなかにもさまざまな潮流が生まれ、それらが合わさった形で現在までに日本舞踊は確立されてきました。
それぞれの日本舞踊をご紹介します。
歌舞伎舞踊
第一は、歌舞伎舞踊です。
江戸時代に歌舞伎の様式が整えられていく段階で、演劇の要素を切り離して踊りだけを文化として発展させる動きがありました。
歌舞伎舞踊は物語の背景が重要な要素を占めているため、踊る側にも演じるキャラクターの心情を理解することが求められます。
能の日本舞踊
第二は、能の影響を強く受けている日本舞踊です。
旋回動作や歩行の手法などに能の影響が強く見られるほかにも、笛や太鼓など能に使われてきた楽器がそのまま使用されています。
民謡の日本舞踊
第三は、民謡や民俗芸能の影響を受けている日本舞踊です。
日本舞踊には、民俗芸能の動きを取り入れ、表現の幅を広げてきました。
たとえば、現在に伝えられている部分では跳躍の動作がこれに当たります。
自由な日本舞踊
そして次に、20世紀に入って日本が欧米文化の影響を受けるようになってきてから広がった、自由な表現形式です。
現在でも新しい表現形式を作り上げ、伝統の制約から一歩踏み出す表現もされるようになっています。
また、関東と関西の文化的なバックグランドの違いなどもあり、現在の日本舞踊は広がりを見せています。
舞台衣装の選び方
日本舞踊(古典)ではそれぞれの曲に決まりものの衣装があります。
特別注文の衣装でありますし、曲ごとに買い揃えていくのは大変ですので通常は貸衣装を用います。
それぞれご紹介していきたいと思います。
女性らしい曲調の日本舞踊
女性らしい曲とは女性が主人公であったり、桜などの花が題材の曲などです。
女性らしい曲にはやはり女性らしい衣装が合います。
色合いが赤やピンク地で桜の花びらなど花の柄の衣装や小石、かすみなど、色も柄も華やかな衣装を着けます。
芸者を歌った曲
また、芸者を歌った曲には大胆な縞柄の裾引き(左)が合います。
着流しなら吉原つなぎの柄(右)の着物でもよく合います。
また、江戸(東京)という歌詞が入っていれば吉原つなぎの着物がよく着用されています。
恋ごころを歌った曲
恋心を歌った曲は、花びらや桜、かすみ柄の着物がよく合います。
色は淡いピンク系の着物がよいでしょう。
女踊りで 何を歌っているかよくわからない時などは、とりあえず、かすみ柄か花びらの柄の着物を着ておけば安心です。
男性らしい曲調の日本舞踊
男性らしい曲とは山や海、漁、祭りなどが題材の勇ましい曲などです。
女性が男踊りを踊る際、男仕立ての着流しの着物で踊ることが多いですが、黒の留袖で後見結び帯を締めて踊ることもあります。
海の曲
男踊りは勇ましい曲が多く、 海の曲、漁師の曲には波の柄の着物がおすすめです。
また粋な縞の柄など男踊り全般に合う柄も良いです。
日本舞踊の衣装(衣裳)のジャンル
一口に日本舞踊といっても、能や歌舞伎から派生した「古典舞踊」、現代の感覚を取り入れ、新しい解釈で振付をした「新作舞踊」、演歌や歌謡曲などに合わせて振付をした「新舞踊」などに分かれ、それぞれのジャンルで衣裳も異なってきます。
ここでは、それぞれにどのような衣裳が向いているか、ということを解説します。
素踊りに向いた衣装(衣裳)
素踊りで踊る演目は、これらのおめでたい踊りが多いです。
・七福神
・鶴亀
・老松
このため、正装である紋付き(男性であれば紋付き袴、女性であれば紋付きの着流し)を着用して踊ります。
紋付きはお師匠さんの許可を得て、流派の紋が入った物を誂あつらえるのが一般的です。
古典舞踊(衣裳付き)に向いた衣装(衣裳)
古典舞踊は能や狂言、歌舞伎の舞台からきたものがほとんどです。
そのため、素踊り以外で踊る場合は「衣裳付いしょうつき」と呼ばれています。
この場合は、役者さんが舞台で着用する衣裳と基本的に同じものを用います。
新作舞踊に向いた衣装(衣裳)
新作舞踊は古典舞踊の枠組みの中に、現代の音楽や西洋のもの、アニメなどさまざまな要素を取り入れて振付をした舞踊です。
そのため、衣裳も古典舞踊で用いられるものをベースにして、柄だけをアニメのキャラクターに変えたり、紋の代わりにブランドのロゴを入れたりというアレンジを加えたものが多くなっています。
新舞踊に向いた衣装(衣裳)
新舞踊は演歌や歌謡曲に合わせて振付をすることが多い舞踊のジャンルです。
そのため、衣裳も演歌歌手の方がステージで着用するような柄の着物が好まれ、よく用いられます。
日本舞踊の衣装(衣裳) どうやって手に入れる?
では、日本舞踊の衣裳はどのようにして準備したら良いのでしょうか?
日本舞踊の衣装(衣裳)を借りる
古典舞踊を衣裳付きで踊るには、歌舞伎などで用いられる舞台用の衣裳が必要です。
ただし、非常に高額(中には数百万円になるものもある)ですし、同じ演目の踊りを再度踊ることは少ないといった理由から、レンタルすることが一般的になっています。
そのため、下記のHPや電話で連絡を取り、衣装を借りることが多いようです。
- 松竹衣裳株式会社
- 日本演劇衣裳株式会社
- 浅草 市川衣裳株式会社
- 有限会社 小林衣裳店
\京都の実店舗にて無料試着会受付中(事前予約制)/
日本舞踊の衣装(衣裳)を古着・中古で手に入れる
日本舞踊の衣裳を着物の古着屋さんや、時には骨董屋さんで手に入れるという方法もあります。
衣裳付きで用いられるような舞台衣裳は滅多に出回りませんが、新作舞踊、新舞踊で使われるような柄の着物は比較的容易に手に入ります。
まずはお師匠さんや先輩に聞きながら、こまめに古着屋さんを回ると良いでしょう。
着物オンラインショップで手に入れる
発表会やおさらい会では、衣装はレンタルをするなどができますが、普段の衣装については、同じ衣装をもう一度着ても問題はありません。
日本舞踊を習っている知り合いや、流派の先輩から借りたり、譲ってもらうといいですが、最初からそういうわけには行きませんよね。
着物オンラインショップ などで、自分の普段から練習で使うような着物はとりあえず購入してみても良いと思います。
楽天などは、ポリエステルの安物の着物も多いため、上質な着物なら【京都きもの町】
などが良いと思います。
京都きもの町公式サイトでは、留袖・訪問着・小紋はもちろん、浴衣やかんざしや櫛などの髪飾りや草履バッグ、着付け小物などが通販で購入できます。
着物初心者の方も、日本舞踊をこれからはじめたいという方もアイテムを購入しておくと良いでしょう。
まとめ
今回は日本舞踊ではどのような着物を着るの?ということについてご紹介しました。
日本舞踊で着る着物は、ジャンルや曲ごとに違います。
これから始める方も、発表会に向けて知っておきたい方も是非参考にしてみてください。